こんにちは、きなです。
無職で少し時間ができたので、「タイトルは知ってるけど読んだことない本」を読んでいくシリーズやってます。
今回は三浦しをんさんの「舟を編む」。
辞書を作る話?で映画化やドラマ化もされていたような…?という曖昧な記憶からスタートです。
※ネタバレを含みます!未読の方注意!※
すっかり読書から離れていたこともあり、難しい話だったら読み切れないかも…と最初は少し不安でしたが、全く知らない世界なのに面白くてどんどん読めてしまったのでさすがだ…
辞書がどうやって作られるかなんて考えたこともなかったけれど、どんな言葉を採用するかや言葉の注釈ひとつ作るのに、こんなにもあれこれ、とことん考え抜かれているとは想像していなくて。
その仕事量と情熱、細やかさにとにかく尊敬の気持ちしかないです。
ちょうど仕事を辞めたタイミングだったので、辞書作りへの情熱をひたすら己の仕事として捧げる人たちの全力さに眩しさを感じたり、
異動の間際に自分がこの部署に必要だったのか考えてしまったり、後の人のために自分のノウハウを詰めた引き継ぎ資料を作ったりする姿が他人事と思えなかったりと、刺さる部分がいろいろとありました。
あなたはこの部署に絶対に必要なひとなのに、って一度は言われたい最高の言葉ですね。
第一印象では軽薄で苦手なタイプだった西岡さんにここで一番共感したので、人ってわからないものだ…
自分はこんな熱量で仕事に向き合ったことはないけれど、そんな人生を捧げられる仕事に出会えたら幸せなんだろうなと思ったりしました。
紺のカバーに銀の箔押しの装丁も、シンプルかつ上品で素敵だなと思っていたら、終盤で完成する辞書の装丁もまさにこれなのがアツい。
思わず読みながらカバーと見比べてしまいました。これは電子書籍では味わえない喜び…
あと作中で度々言及のある大槻文彦の「大言海」、先日図書館をウロウロしていたら見かけて、つい手に取ってみました。
…いや「手に取る」とかできる重量じゃない!手で持った状態だと開くのが精一杯で想像以上のボリュームに圧倒されました。
この量をひとりで自費で…!?本当にとんでもないことだ…
死者とつながり、まだ生まれ来ぬものたちとつながるために、ひとは言葉を生みだした。
― 三浦しをん『舟を編む』
この一文が特に好きです。言葉の力について深く考えることができて良かった。
大昔から少しずつ形を変えながら、それぞれの国の中で受け継がれていったもの。
ひととひとが考えていることを伝え合いつながるために、社会性動物であるために必要なもの。
生活や社会を形作る必須材料。
変わり続ける生き物。
そう思うと、こんなに身近なのにとても神聖なもののように感じました。
私たちと共にあってくれる言葉をもっと大切にしないとなあ、と背筋が伸びる本であり、
この世界に新たな愛おしいものを増やしてくれる、そんな素敵な本でした。

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